この先にあるもの

公務員卒業
自分の気持ちを最優先に、この先のことは少しづつ考えながら
赴くままに生きてみたい。

2015年2月22日日曜日

30年間、ご苦労様でした

北斗消防署には 大型化学消防車が配備されている

言うまでもなく、石油コンビナートがあることで
整備指針第9条により3点セットが配備されている

特殊車両があると言うことは
機関員になったら、ポンプ車、水槽車に加えて
大型高所放水車、泡原液搬送車、救助工作車
その操作全てをマスターしなければならない

救急隊員や救助隊員と同じく、機関員も専従ではない
その日のメンバーにより、ほぼ毎当務、担当する車両が変わる

だから、知識や技術は広く浅くならざるを得ない

などと言うことは、絶対にない!!  あってはならない!!

広く、深く、専門的に が当消防署の機関員の伝統であり誇りだ

若い時は、ポンプの神様みたいな先輩たちがたくさんいて
夜になると地水利と水力学、そして現場の対応をミッチリ仕込まれた。

ポンプ圧は?放水量は? ホースは何本まで何リッター出る?
吸管直列、並列、タンク水で放水中の揚水は?
閉塞弁が落ちた時の対処は? 真空ポンプが故障した時の揚水は?
エゼクターの原理は?

そんなのに加えて、高所放水車のジャッキ水平の取り方
下塔は何度で中塔は何度で高さは?
塔操作とポンプ操作の切り替えは? 補助ポンプの油圧系統は?

化学車の配管を全部書いてみろ!?
ギヤポンプ入りと出口、第1バルブと第2バルブ
ストレーナーが詰まったらどうする? 自動減圧弁の故障はどうやって見分ける?
手動混合の切り替え方法、薬液層が空になったらどうする?

あぁ・・・・・機関員やってた頃は楽しかったなぁ

今の車両はコンピューター化されて
それはそれで、扱い易いし安全だと思うけど
若い職員に全揚程を説明しろとか言っても

なんすか それ?  とか言われそうだな(笑)

そんな、当時新米機関員だった俺たちを育ててくれた

昭和60年製の大型化学車が
先日、勇退しました。
 
ポンプ室に潜り込んで

一つ一つ配管を辿って
自分の目で確認させられました。

そうすることで、水と泡原液
そして混合液の流れを理解し
トラブルがあった時に対応できるようになる。


特殊車両は、
普段、滅多に出動することはない

そのため、イザという時の操作や操縦に不安がある。

不安を解消するには、とにかく触ること、動かすこと、乗って走ること。
訓練するしかない。

非番には先輩に頼んで、操縦訓練に出向してもらったりして
とにかく、自分で言い出さないと
何も解らないのに歳だけ喰って、解っているもんだと誤解されてしまい
機関員を担当させられ、慌てて訓練しても、遅い。

災害は、未熟な俺たちが育って行くのを待ってはくれない。

赤色回転灯が外され

北斗消防署の車名も目張りされ
薬液も降ろされ

スクラップになっていく
大型化学消防車



30年前に新車で入ってきた時は
最新鋭の装備を積載した
組合で唯一の大型化学車だった。

いつか、この車の機関員になりたいと
一生懸命勉強したなぁ・・・・・・自分なりに(;´∀`)

消防車は、出動しない方がいいに決まっている
消防車は、活躍しない方がいいに決まっている

でも、災害が発生した時には、一番頼りになる装備の一つだ
俺たち消防職員は、その機能を余すところなく
完璧に使いこなさなくてはならない

どんなに自動化されコンピューターが制御し
機能が充実していこうとも

それを使いこなすのは、人間であり
俺たち消防職員というプロフェッショナルの集団なんだ

ということを

若い職員に伝えていかなきゃなぁ~

この写真は スクラップ処理の為解体工場へ向かう時に
担当係員の一人が

「大型化学車が最後なので、皆で見送ってやって下さい」

と事務所にいる俺たちに声を掛けてくれた。

お世話になった消防車に別れを告げる
そんな、思いを持っている職員がいることに
なんだかとても嬉しくなって

「じゃ みんなで敬礼でもして見送るべ」と言いながら
出ていき、最後の雄姿をスマホに収めた。

長い間
ありがとうございました
ご苦労様でした。

さぁ 新車の訓練せぇ  訓練を!!




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