この先にあるもの

公務員卒業
自分の気持ちを最優先に、この先のことは少しづつ考えながら
赴くままに生きてみたい。

2018年4月20日金曜日

紺碧の天空を仰いで


月曜から金曜までの勤務日
俺は毎朝、始業1時間前には部屋に入る

職場に顔を出す
ではなく
部屋に入るだけ

しかも、職員がいる事務室を通ることなく
通用口から入り、靴を履き替えて
裏階段を通り、最短距離で真っ直ぐ部屋に入る

管理職が早く職場に出てくることや
遅くまで残っていることに喜ぶ職員など
いるわけがない・・・・(>_<)
というのは、管理職になる前の自分もそうだったから理解はしている

隔日勤務者は
830分と17時で気持ちを切り替えるもんだ

朝は、それまで机の上が乱雑になっていれば整理し
飲んだ空き缶を所定の場所に捨てて
Tシャツになっていれば上着を着
民法放送からNHKにチャンネルチェンジし
ダテパー や ハコラク なんかのフリーマガジンを片付ける

夜は・・・・その逆かな

24時間勤務では、その切り替えが必要だし大事なんだ・・・と思う  自論

それより早く、職場に入る時は
見つからないようにコッソリ入ることも
隔日勤務者に対する俺なりの礼儀だ

一時間も早く消防に来るのには
それなりの理由がある

管理職になって、日勤に変わってからの習慣で
前日の日報や台帳に目を通して押印して
早く署長まで決裁を上げる為だ

それと、その日の行事予定を確認して
自分なりの事前準備をする

そこまでやっておかないと
830分から10時近くまでの間
その日の仕事に入っていけない
他の管理職はどうか解らないが、俺は頭が悪いせいか
事前準備 が人一倍必要な人間で
それをしないと周りの流れに付いていけない

「事前準備」は、
今ではスッカリ俺の座右の銘となっている

ここ3年間は、逆に書類を待つ身になったとはいえ
習慣とは恐ろしいもので
朝は730分に家を出ないと、落ち着かない・・・・・居場所がない(^^ゞ

オッカちゃんには
「ホレ、早く行きなさい   大好きな消防が待ってるよ!!」
と囃し立てられるしよぉ?

いや  確かに俺は 誰にも負けないぐらい
消防が大好きな人間だけどさ
別に消防が俺を待っているわけではなくてさ

まぁその辺の話は どうでもよくて

今日の本題は
その早く出てきて部屋に入ってからの1時間
毎朝、何をしているかと言うと

読書だ 
本を読んでるんだ

俺の部屋は二階で、海が見えて、朝日が入ってくる
朝読には格好の環境でとても気持ちがいい

「近代消防」だったり構成市町の広報誌や議会だよりなど
消防に関係する本もたまには読むけど
ほとんどは「ビジネス・実用」 という分類の本で
週間実話とミュージックライフ
エロトピア しか読んだことが無い俺には
最初、なかなか入っていけないジャンルではあったけど

それでも、何か役に立つかな?

と、頑張って読んでいるうちに
だんだん面白くなってきた、というのも事実で
月に二冊のペースで読んでいる 

そこで
この春、4月から読んでいるのが
これだ



紺碧の天空を仰いで






SUZUKIファンなら誰もが知っているであろう
神様のような存在で・・・・俺は知らなかったけど(^^
横内悦夫 さんと言う方の 回想録です

HONDAファンで、本田宗一郎の信者でもある俺に
この本を「仕事に役立つから、読んでみて」と
送ってくれたのが

北海道消防長界のレジャンド
A市消防本部の前消防長  Hさんだ

同世代で同じ時代にバイク好き ということもあり
HONDA党の俺でも聞き覚えのある懐かしい名称が
たくさん出てきて、とても読みやすい

昨年度限りで退職され
タイミングが合わずに、戴いたお礼も言えずに
連絡が取れていませんが
H消防長の仕事に対する姿勢や、実際の発言や行動
組織の中の自分と、その中での人材育成
「組織は人」という原点が
ここにあるんだ、と言うことが読み進んでいくうちに
解ってきました

H消防長が、この本を俺に送ってくれた意味も意図も
今は、しっかりと理解しているつもりです

読破したときには
俺もH消防長の領域に少しは近づいているかな?

いや 近づいていたいな

っていうか

超えてやるぞ










2018年4月14日土曜日

消防1年生

東京にいた頃
消防学校を卒業して,所属に配置になったとき
よく,こう言われていた

一年子  イチネンコ

この言われ方  嫌いではなかった

出来なくても
解らなくても
失敗しても
怒られても
たまに,褒められても

「一年子だもんな」と先輩に言われると
何故かホッとした,安心した,そんな記憶がある

怖い先輩がたくさんいて,訓練は厳しかった
一人一人が自信に溢れていて,絶対的で
失敗するとガンガン怒られて
  
イチネンコだもんな・・・使えねぇなぁ(笑)

特に救助隊と指揮隊と梯子隊は  
群を抜いて怖かった
それだけ危険度が伴うってことだ

でも,休みの日には家に呼んで,泊めてくれたり
スキーに連れて行ってくれたり
焼肉おごってくれたり
江ノ島でのナンパの仕方も教えてくれたし
車やバイクの選び方、改造の仕方まで・・・(^^ゞ

やっぱり〇〇さんって  本当は優しいんだ
あぁ~いい先輩だなぁ  と安心していると
次の当務での訓練では別人のように
また,ガンガン怒ってくる   

目の前にいるのに,トラメガで ガガガガガガガ・・・まったく使えねぇな(笑)

メチャクチャ罵声を浴びせながらも,瞳は優しかった
早く這い上がってこい
その思いは痛いほど伝わってくるし
必ず末尾に入っている・・・使えねぇなぁ が先輩の思いを表している

結局今,記憶の中にある先輩たちの印象は

涙が出てくるほど,お世話になって,優しいときの印象の方が強い
あの時の先輩たちとの関係があったからこそ
35年経った今でも
俺は,消防が大好きな消防職員でいられる

もう皆,70 80のお爺ちゃんになってんだろうな
今頃何やってんだろう・・・・
元気でいてくれてるかなぁ

退職したら,会いに行きたいな

今年も
俺んとこには4人の新人が入ってきた
みんな,消防が初めての職場
社会人1年生だ

実は・・・・
昨年,俺の職場では不祥事が発生した
情けなくて,悔しくて
そして何より,築き上げた住民からの信頼が
崩れていくことが悲しかった

早く一人前の消防士になれ

当然のことです
間違いではない
一日でも早く,住民のために働ける消防士となって
役に立って欲しい

でも・・・・・違うんだ
社会人一年生には
一人前の消防士になる前に
まだ,やらなければならないことが二つある
教えなければならないことがあるんだ

消防という仕事を選択し
困っている人のために働きたい
助けを求めている人を救いたい
憧れから始まり,一生懸命勉強して
採用試験に合格し,辞令を受け取り,宣誓書を読み上げ
階級章がついた制服に袖を通す

早く一人前の消防士になりたい
早く一人前の消防士になって欲しい

そんな両者の思惑は,一番大事なところを
素通りしてしまう危険があることに
今更ながら  気付いた

教育とは,指導とは,育成とは  なんだろう
昨年度はそんなことを,深く深く考えさせられた
そんな一年だった

消防とは
人を助け,要救助者も自分も
笑顔で家族の元へ無事に帰る

その消防活動ができるようになるには
一朝一夕にできるような
そんな簡単な職業ではない

先ずは土台がしっかりと出来上がっていなければ
次のステップに進んではならない

その土台とは
普通の社会人になること

その行程は

普通の大人  →  普通の公務員  →  普通の消防士

これが完成して初めて
役に立つ消防士へとステップアップしていくこと
これを一年子には一年で叩き込む

4月3日 新人教育の一環として
俺の「訓育」という講義があった
まぁ俺も,人に教え諭すことができるような人間ではないことは
この俺が一番よく知っている

誰かの言葉を借りて
形だけの1時間を過ごしたところで
新人職員には,子守歌程度にしか聞こえないだろう

だから俺は俺の言葉で一年子と,1対4のディスカッションをした

大人って  どんな人のことだと思う?  はい挙手!!

緊張してるのかもしれないけど・・・誰も手を挙げない(*^。^*)
いやいや,俺だって漠然とそんなこと聞かれたら答えられないさ

〇〇ができる人は  大人
予想通り,できる という発想から入っていたようだ
少しずつ,意見が出始めるが
自分たちでも何か的を得ていないという様子だった

質問を変えてみた
じゃ,逆に これが出来なきゃ大人じゃない ってどんなこと?  はい挙手!!

何故か,こっちの方が話が弾んでいた
いろんなダメパターンな大人の行動が出てくる
そして,最後に纏まった答えが

自分の感情を,コントロールできずに 表に出す人は まだ子供だ
それが,できる人のことを 大人という

できない と できる を一つに纏めてきたぞコイツら 
おぉぉぉ 凄い
思ってみない答えになってしまったぞ・・・汗

でもこれって ピンポイントでズバリでもあり
いろんなことにも当てはまる抽象的な表現でもある

今どきの若者はコミュニケーションが苦手というけれど
昨日まで他人だった同世代と
短時間でこの答えに辿り着くってことは

凄くね!?

俺たち管理職で話し合って この答え 出てくるか? マジで・・・

予想外の答えに動揺している俺は
感情を表に出さないように,バレないように

そうだな
喜びは思いっきり表現してもいいと思うけど
自分の不機嫌さを他人に見破られるようじゃ
まだまだ子供だってことだな

と・・・偉そうに(*^^*)

最後に
この先,一生の友,命を預ける同志,永遠のライバルとなる同期に対して
一人一人お互い3人にエールを送らせた

これが俺に与えられた
最初で最後の新人に対する講義だ

あとは,指導者の先輩方
よろしく頼むぞ

自分の子供だと思って
愛情をもって厳しく育てれば
ハラスメントなんて起きるはずがない

そして,一つ一つの訓練に厳しく指導するだけでなく
消防という職業の厳しさ そのものをしっかりと教え込んで欲しい
愛情を持って

それには先ず
普通の大人になれるよう教育し
普通の公務員に育て
普通の消防士を完成させてからだ

その土台があって 
初めて エキスパートとなっていくんだ

がんばれ  一年子